ADHDの人に運転は可能か?不注意優勢型当事者の実体験。

今回は、「ADHDの人に運転は可能か?」というテーマで、私個人の自動車とのつきあい方について書きたいと思います […]

カテゴリー:ADHDと生活   投稿者:   更新日:2016年10月14日


横断歩道の前で止まる車のイラスト

今回は、「ADHDの人に運転は可能か?」というテーマで、私個人の自動車とのつきあい方について書きたいと思います。なお、執筆者のグレースは、不注意優勢型(かつてADDと呼ばれていた類型)のADHD当事者であり、注意力のなさに大きなハンディキャップを抱えています。しかし、衝動性はほとんど持っていないため、ADHDの人すべてに共感してもらえるような話はできないかもしれません。あくまで一個人の経験談として、参考にしてもらえればと思います。

結論からいうと、私の場合は大きな問題なく運転できている

私自身免許をとったのは、二十代前半の大学生の頃でした。取得したのは数年前で、それ以降は時折家族の車を運転しています。いままで事故を起こしたことはなく、警察のお世話になったことはありません。ですので、結論としては運転は「できる」と言ってよいと思います。

もっとも、社会人になって以降は主に移動は電車ばかりで、いまは運転する頻度は数か月に一度、それも知っている道ばかりという感じで、それほど自動車のヘビーユーザーというわけではありません。車幅の違うレンタカーを乗り回したり、高速道路を走ったりといった経験はないので、本当に自由自在に乗り回す力がるかどうかは、自分でもよくわかりません。

大学生の頃、オートマ限定免許を取得

運転免許の取得にあたっては、比較的苦労したほうだと思います。教習所には、週数度通うという感じで、数か月間かけてオートマ車の免許をとりました。しかし、これは私の運動音痴や、方向音痴などが災いしたのかもしれませんが、第一段階だけで数回復習が入り苦労もしました。

特に乗り始めた直後は、ハンドルの操作のときに手元のハンドルを見てしまう癖(マルチタスクの苦手)を再三指摘され、その癖が抜けるまでに非常に苦労していた記憶があります。一応、見極めや仮免試験や本免試験は一度ですべて合格しましたが、教官に怒られてばかりだった記憶があります。

今現在の運転上の課題

免許をとって一年以上たった今

免許をとって一年以上たった今は、やや運転にも慣れてきた気はします。数時間を超える運転も十分にこなせるようになってはきました。

しかし、あまり運転が得意だという自覚はありません。理由は主に、集中力が切れそうで怖い(集中力の欠如)というのと、瞬時の状況判断や咄嗟の対応が苦手(タスクを順序だててこなす能力の欠如)といった点には、やはり苦手意識があるからです。

注意力が切れそうで怖いということを強く感じるとき

注意力が切れそうで怖いということを強く感じるのは、渋滞などで上り坂の途中で停止するような場面です。フットブレーキを踏んだままボーっとしているうに、足を緩めて後ろへ転がりだしてしまうのではないか…なんていうことを運転中はよく感じます。上り坂で停止するのは非常に気を遣うので、ストレスを感じます。

また、瞬時の状況判断が苦手である点を強く自覚するのは、知らない道を走っていて、複雑な形の交差点などに出くわしたときなどです。うっかり一方通行の出口から入ってしまったりしないかとヒヤヒヤしてしまうこともあります。何をすればいいかを判断するのが、人よりワンテンポ遅い感じような気はしているので、こういうところも極力行きたくないと感じます。

あとは、赤信号の下に直進の矢印が出ているような場合でも、知識として直進してOKだと理解していても、ついアクセルを踏むのをためらってしまったり、車線変更してきた車に驚いてしまってさらにその奥の斜線にいる自分までブレーキを踏んでしまったりすることもあります。瞬時の状況判断が苦手であるために、全体的に慎重すぎるような運転をしている傾向はあるかもしれません。

運転する上で現在とっている対策

カーナビを必ずきちんとセットする

ひとつは、完璧に道をおぼえきれていないうちは、カーナビを必ずきちんとセットすることが大事だと思います。やはり道を思い出すために周囲を見渡したり考え事をしてしまったりすると、ただでさえマルチタスクが苦手な自分のような人は、事故の原因をつくってしまうと思います。

それから、知らない道を走るときなどは、助手席になるべく信用のできる人を乗せるようにするというのもいいと思います。複雑な交差点などで、停車位置が一瞬わからなくなるようなときでも、助手席に人を載せておけば、「これはここで止まればいいのか」など話しかけながら、二重にチェックできます。これは、大きなトラブルを回避するのにとても有効だと思います。

ハンドブレーキを活用する

そして、ハンドブレーキを活用することもおすすめです。注意力を持続させるのが辛い人にとっては、ハンドブレーキはとても有用だと思います。フットブレーキを踏む足が万一緩んでしまっても、ハンドブレーキをきかせておけば、渋滞でも追突の心配がありません。また、上り坂の停車でも、後ろに転がっていく心配がなくなります。

ちなみに、ハンドブレーキを効かせたかを忘れそうで不安(ワーキングメモリの少なさ起因)といった課題も自分には多少あるのですが、これはハンドブレーキをかけたときには必ずブレーキレバーに手を乗せせたままにしておくといったやりかたで対処しています。

ADHDの薬、コンサータとの相性

私はADHDの症状を緩和するためにコンサータを服用していますが、コンサータを飲んでも運転には支障はなく、むしろ運転が上手になる気がします。いつでも落ち着いた気分でいられるというのも大きいですし、疲れにくくなる気がします。また、状況判断や計画性のなさも、だいぶ緩和すると思います。

ADHD当事者の運転で、特に注意すべきこと

むしろ車のメンテナンスが課題かも?

ADHD当事者が自動車を活用する場合、運転技術もさることながら、自動車のメンテナンスの面で苦労する可能性もあります。当然ながら、車はガソリンが切れることがないように、計画的に補給する必要があります。また、習慣的に動かすようにしていないと、バッテリーが切れて、エンジンがかからないようになってしまいます。二年に一度、車検を行う必要もあります。
特に、家事や自己管理を苦手にしがちな当事者の方々にとっては、こうした各種メンテナンスが負担になることがないかも、よく検討する必要があるでしょう。

衝動性優位の場合や、協調性運動障害をもつ場合の注意点

また、私のリアルの知人で、ADHDの当事者である方のなかには、運転に本当に苦労し、「自分の場合は運転は危険だから、もうやめることにした」という人もいます。その人の場合は、私と異なり、衝動性なども症状としてもっているため、、「ちょっとでもイライラした気持ちのときに運転してしまうと、ついアクセルを強めに踏んでしまう癖があるので、事故などを起こしてしまう前に、運転はもうやめようと思った。」という話をしていました。
また、ADHDなどの発達障害と併発して、協調性運動障害を持っている場合には、それが運転技術に悪影響を及ぼすことが考えられます。協調性運動障害について医学的に詳しい解説をここですることは控えますが、これは、視覚などの感覚器官から得られた外界の情報をもとに、自身の運動を同時にコントロールしていく能力についての障害です。

車の運転では当然ながら、様々な場面でマルチタスクをこなしていくことが求められます。たとえば、ハンドルを回しながらブレーキを踏んだり、曲がる方向に視線をズラしながらハンドルを回して車の角度を変更したりなども、一種のマルチタスクと考えるべきでしょう。目や手足の協調運動に不安がある人の場合にも、その点を踏まえて自身の運転適性を考えていく必要があるでしょう。

偏見ではなく、一人一人の症状に合わせた正確な理解を!

世間では、発達障害と自動車運転との関係については、厳しい意見も溢れていると思います。たとえば、「アスペルガー症候群=周囲のドライバ―の気持ちを理解できないため、運転はできない」といったものや、「ADHD=衝動性を抑えられずに乱暴で危険な運転をするため、運転には向かない」といったものなど、当事者であれば一度や二度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

たしかにこれらは、事実として正しい面もあるかもしれませんし、事実運転にまったく向かない当事者もいると思います。しかし、すべての当事者について同様であるとまで言ってしまうと、それは一種の偏見なのではないかと思います。少なくとも私の場合は、運転免許を取得し、日常的に運転を続ける生活を送りながら、その後に発達障害の診断をもらうという経緯で、今まで大きな問題なく運転をすることができています。

また、私には衝動性がほとんどないため、ADHDの典型とは少し異なっています。そのため、「ADHDの人は衝動的で危険な運転をする」というのは、私に限っていえばまったく当てはまりません。むしろ私は性格的にも非常にのんびりしているほうで、安全運転すぎるくらいの安全運転をするほうです。パニックを起こしたりすることもありません。

「発達障害だから運転ができない」と安易に決めつけることは、当事者一人一人の可能性を狭めかねないものでもあり、また偏見や差別につながる危険もあると思います。むしろ一人一人、自分の得意なこと、苦手なことをよく見極めつつ、それに応じた運転のやりかたを考えていくのがよいと思います。 本免許の取得前であれば教習所の教官であったり、免許取得後であれば身近な経験豊富なドライバーに助手席に乗ってもらったり、たくさんの人に相談しながら、自分の運転の適性を考えていくのもよいと思います。

いずれにしても、そもそも、人には得意なこともあれば苦手なこともあるのが当然です。そして、自分の苦手を自分で自覚しておらず、改善しようとしていないようなときほど、大きな事故も起きるのだと思います。これは、障害があってもなくても、基本的には同じだと思います。

発達障害の当事者であるという事実をあまり深刻に受け止めすぎず、いつでも初心を忘れず慎重な気持ちで運転するようにすることで、自分に合った運転方法も見えてくるのかもしれません。

 が書いた記事です

ADHD(不注意優勢型)とASDの診断を約一年ほど前にいただいた発達障害当事者です。新卒入社後に仕事でつまずき、間も無く診断された新米社会人。自分のキャリアについて模索(迷走ともいう)する日々を記事にしています。

twitter:https://twitter.com/grace_adhd

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