【当事者実感】ADHDの処方薬、コンサータについて

ADHDの症状を緩和する方法は、様々なものが提唱されています。ここでは、執筆者グレースが飲んでいるコンサータを […]

カテゴリー:ADHDと投薬治療   投稿者:   更新日:2017年3月25日


ADHDの症状を緩和する方法は、様々なものが提唱されています。ここでは、執筆者グレースが飲んでいるコンサータを例に、薬物療法によってADHDと向き合うことについて考えてみます。なお、ADHDと、ADHDに対する薬物療法に関する専門的なな知識事項に関しては、一部『大人のADHDワークブック』を参照しながら書いていくことにします。

コンサータに関する基礎知識

ADHDの症状に対して、薬物療法がどれほど効果的なのかは誰もが気にしているところだと思います。コンサータとは結局なんなのか?まずは基本的な薬の情報から、整理していきましょう。

そもそもADHDの症状は薬で緩和できるのか

発達障害というと、治療が不可能な障害であるというイメージを持っている人も多いかと思います。実際、確実に完治・寛解させる方法はまだ見つかっていないとされています。
しかし、発達障害を緩和するための方法は、様々なものが提唱されており、薬物療法の効果が研究されているものあります。とりわけ、ADHDに関しては、薬物療法が非常に効果的であると言われてきているようです。『大人のADHDワークブック』にも、「ADHDの治療薬として認可された薬を全て使っても何も効果が見られないのはわずか10%以下」*1とまで言われています。
今の日本で、ADHDの当事者に処方される薬として最も代表的なのは、コンサータとストラテラだと思います。このうち、私が毎日服用しているのは、コンサータなので、今回この薬について考えていきます。

コンサータとはなにか

私がコンサータの処方をされた際に薬局からもらった説明書きには、以下のように記してあります。

・集中力を高め、行動をコントロールしやすくする薬です。

・神経機能を活性化し、注意力を高めたり、衝動的で落ち着きがないなどの症状を改善します。

 

そもそもADHDは、脳の神経系の働きが十分でないために起きる障害だということが、近年の研究ではしきりに言われるようになってきています。そして、このコンサータという薬は、脳の中枢神経系(すごく簡単にいうと脳の中心部)に直接作用し、神経伝達物質の受け渡しをスムーズにする薬なのだそうです。それによってADHDの症状が緩和され、上記のような効果が生まれるのだそうです。

 

一回の効き目は飲んでから大体12時間程度なので、午前中に一度飲んで、日中の生活を送るという流れになります。

画像だけでお伝えするのが難しいところではありますが、非常に固いカプセルに覆われた錠剤です。固いカプセルで覆うことにより、少しずつ体内に溶け出して、長時間効き目を維持することができるのだそうです。(徐放剤と言います)

コンサータの副作用について

しかし、コンサータには大きな副作用もあるとされています。

主だったものには、食欲減退や吐き気や眩暈などです。また、以前私のかかりつけの薬剤師の先生から教えてもらったことなのですが、「飲むと気持ちが落ち着きすぎて、性格が冷淡になってしまい、人と情緒的なコミュニケーションをとるのが難しくなるからといって量を減らした人も見たことがある。」ということでした。これは本当に副作用なのかどうかは微妙なところではありますが、薬の効能から考えれば起きても不思議ではありませんね。

 

また、稀に重大な副作用が起きることもあるようです。例えば、呼吸困難などです。こうした重大な副作用が起こりかねないことから、コンサータを用いた薬物療法は、医師からADHDであるとの診断もらったうえで、医師から処方箋を書いてもらわなければ、受けることはできません(診断されるまでのプロセスについては、第5章を参照のこと)。体に与える影響もそれだけ大きいためなのだと思います。

 

実際、『大人のADHDワークブック』でも、コンサータに関して、医療従事者だけでなく「使用者自身も、盗まれることのない安全な場所に薬を保管」*2しなくてはいけないとまで書かれています。良い意味でも悪い意味でも、薬としての効き目の強さがうかがえます。

コンサータの服用方法について

コンサータは、18mg,27mg,36mg,54mg,72mgと、本人の症状の程度に合わせて、一回あたりの服用量を変えられるようになっています。そのため多くの場合、はじめての服用の場合は、大きな副作用があらわれないことが確認するために、まず最少の18mgから開始することが多いようです。

 

そこで大きな副作用があらわれないこと、本人の体との相性がよいことなどを確認したうえで、徐々に服用量を増やしていくのが一般的です。グレースははじめ18mgから飲み始め、一度27mgに増量した後、吐き気などの副作用に苦しんだために一度18mgに戻した後、改めて27mgに戻し、今に至ります(詳しい経緯は第二章を参照のこと)。

 

服用されるまでの流れについて

こうした危険性がある薬であることから、コンサータはADHDの診断がおりなければ、服用することはできません。

 

そのため、コンサータを用いた薬物療法を希望する人は、正式な発達障害の検査を、病院で受ける必要があります。私の場合は、自分で自分をADHDなのではないかと思っていたこともあり、特に抵抗感なく検査を受けることができました。しかし、数時間にわたる知能検査を受け、その後は、幼少期から現在までの成育歴などを振り返った数ページにもわたる報告書を書いて提出したりもしました。仕事をしながら検査を受けるために何度も病院に足を運ぶことになるので、決して楽なことではありませんでした。

 

なお、検査にかかった費用は、たしか知能検査(自分が受けたのはwais-Ⅲというもの)は健康保険が適用され、成育歴に関する聞き取り調査などは保険の適用がなく全額自己負担だった記憶があります。はじめに病院に行ってから、実際に診断をもらうまで、一万から二万円程度の費用がかかりました。(不眠にかかる診療も同時進行していましたが、そちらの費用は除いた金額です)。

結局薬物療法は受けた方がいいのか

 

このように、たしかに、コンサータは副作用の危険性も無視できません。また、実際にADHDの診断をもらうことも、決して簡単なことではありません。また、個人的な印象にはなりますが、多くの発達障害の当事者のツイッターアカウントなどを見ていても、「薬の副作用に悩まされている」という人を多く見ます。こうしたことを踏まえて、今現在薬物療法を考えている方も、少々及び腰になってしまうという人もいるかもしれません。

 

これに対しては、たとえ私自身が当事者であっても私からは、どうするのが正解なのかを教えることはできません。一人一人症状や体質が違う以上、薬の合う合わないも人それぞれだからです。また、万人に共通する正解というものがもしあったとしても、「薬物療法が最善だからみな薬を飲むべき」とか、「薬物は有害だから飲むのをやめるべき」といったことを一介の素人にすぎない私が断言することは、ただの無責任にしかならないと思います。

 

しかし、参考までに『大人のADHDワークブック』の見解を載せるなら、「ADHDの症状をコントロールする上で、それ(薬物療法)がいまのところもっとも効果がある」*3とまで書かれています。
私自身も、薬の服用により、たしかに副作用に苦しんだこともありますが、それを上回る効果も日々実感しています。大変ですし、薬価も決して安くはありませんが、診断を受けて、薬を飲むようにしてよかったと思っています。

 

服用した際に得られた私の実感

 

では、そうした効き目も副作用も協力なコンサータを飲むことによって、生活の実感はどのように変わっていのでしょうか。私の場合の事例を、さらに詳しく紹介します。

 

はじめて薬を処方された日

 

 

第一章でもふれたとおり、コンサータは非常に副作用も強く、体質に合わないな人にとっては危険ですらある薬です。そのため、私もまずはじめは最小の18mgから飲み始めました

 

この頃私は、まだ社会人になって2、3ヶ月というところで、当初不眠の治療などと並行しながら発達障害の検査を受けていました。当時はまだ、発達障害に対して薬物療法があるということすら、私は知りませんでした。

 

そのためかかりつけの精神科医から、検査結果の公表時に、「ADHDの診断がおりましたから、ADHDのお薬出しておきますから」とあっけらかんと言われてしまい、かなりの衝撃を受けた記憶があります。薬局では、一度服用したらその後約半日ほど効果が持続する薬であるため、午前中のうちに必ず飲むようにと指示されました。薬をはじめて受け取った日はすでに昼下がりであったので、一体どんな効果があるだろうと、怖いような気持ちと楽しみな気持ちと半々くらいの気持ちで、翌日から投薬を開始しました。

 

薬の効果は飲みはじめてから30分程度で驚くほど実感できました。薬を飲んだとき、当時同居していた家族にも、話すとき目線がキョロキョロ泳ぐ癖がなくなったように見えると指摘され、周囲の人から見ても薬の効果は明らかなようでした。

 

自分の体感としても、生まれたときから苦しめられていた偏頭痛や頭のしびれがとれて、いままで味わったことのないような爽快感を実感することができました。

 

また、自分は気力や体力にずっと自信がなく、朝から動き続けていると、夕方4時くらいには立っているのもきついほど疲弊してしまうことにも苦しんできました。そのため、学生時代も、部活動やサークル活動などはずっと楽な文化部に所属するか、腰掛け程度の幽霊部員にしかなったことがなく、青春らしい日々というものと縁遠い人生を送ってきました。

 

しかし、薬を飲めば、効いている時間については、四時をすぎても仕事や勉強などに取り組むことができました。このことは、まるで自分が別人に生まれ変わったかと思うほど大きな変化でした。

 

また、体の平衡感覚や触覚にも変化があらわれました。たとえば道を歩いているときには、自分の足が地面を踏みしめているという感覚です。ほかにも、なにかを手で握っているとき、自分の手が物体を握りしめているという感覚などです。あらゆる感覚が、生き生きと自分の体に伝わってくるようになりました。

 

これは言葉で表現するのは難しいですが、平衡感覚に乏しく、知覚をひとつにまとめることが苦手で、言ってみればフラフラな体で世界をさまよっていた自分が、自分の体を自分の思い通りに動かしているという感覚をはっきり持てるようになったという感じです。

 

とりとめのない変化に思われてしまうかもしれませんが、自分の足が地面を踏んでいるという感覚を歩くたびに実感できるようになったことは、自分の人生観にも大きな変化をもたらした気がします。

 

こうした様々な効果によって、集中力や注意力の問題も徐々に解決するようになり、少しずつ日常生活も好転していくようになりました。

 

一度27mgに増量

 

 

 

薬との相性がよいことを実感するようになった自分は、一度18mgから27mgに増量します。しかし、ここで薬の副作用を本格的に実感することになります。

 

薬を飲んで以降、副作用の吐き気がひどくなり、言ってみれば偏頭痛をとるか吐き気をとるかという二択を迫られながら、日中仕事をする日々に変わりました。薬の量を増やせば、それだけ頭は冴え、気力は充実しますが、吐き気で仕事中もトイレに行かなければならないことも出てきて、非常に悩まされました。

 

また、激しい食欲の減退という症状もあらわれ、一日の食費が500円を下回る日も出てきました。
こうした経緯で、医師と相談し、また18mgへと薬の量を戻しました

 

副作用とその対処法を身につけ、再度27mgへ

 

 

飲みはじめてから数ヶ月経ち、自分にあらわれやすい副作用も、それへの適切な対処方法も徐々にわかってきました。自分に顕著な副作用は、おもに吐き気で、そしてカフェインやアルコールを薬と同時に摂取すると、体調が大きく狂ってしまうらしいということもわかってきました。

 

27mgの服用で吐き気を催していたころも、考えてみれば職場で癖のようにコーヒーを飲んでいました。そこで今度は、カフェインとアルコールを断ち、もう一度27mgに薬の量を増やしました。すると今度は、吐き気などもほとんどあらわれずに、無理なく服用できることがわかりました。

 

効果は12時間、ではいつ飲むのがよいか

 

 

体感的に、薬の効果は、飲んでから30分後くらいにあらわれはじめ、そこからだいたい10〜12時間ほど持続する感じがします。

 

効いているときは、はっきり効いているということが自覚できます。

 

頭のなかが、水で潤っているような感じが日中しているときは薬が効いているときで、砂や埃が舞っているかような、朦朧とした感じや頭の痛みがあるときは薬が切れているときです。しかしこのあたりは結局は言葉で説明しようもない話ですし、実感は人それぞれといったところかと思います。

 

効果がだいたい10〜12時間程度であることを考えると、長時間の残業にならなければ、仕事まえに飲んでも、仕事中の時間は乗り切ることができます。しかし、仕事中が終わった後のプライベートな時間を充実させたりすることを考えて、最近は私は11時くらいに飲むことが多いです。午前中の時間は少し眠気があるくらいの感じで、少しペースを落としながら働いているという感じです。

 

飲まずに生活してみること、飲むことによって失ったもの

 

 

最近では時々、薬を飲まない日もあります。

朝起きてすごく体調が良さそうな日や、昼間からお酒を飲む予定があるときや、コーヒーや紅茶がどうしても飲みたいときなどです。

 

たしかに服用しないでいるとテキパキ動き続けるのは難しくなりますが、それでも日々の疲労が蓄積していないぶん、一切薬物療法をしていなかった頃よりは随分楽にはなっています医師の診察と薬で毎月の出費は5000円を超えており、私のような新卒の安月給にはそれなりの出費ではあります。

 

もともと大好きだったコーヒーや紅茶を飲めなくなったことも悲しいことではあります。
しかしそれでも飲み続けるのは、薬の力に頼ってでも自己管理ができるようになりたいという気持ちもあるからなのだと思います。

薬物療法についての個人的見解

当事者に多くのものをもたらす薬物「コンサータ」について、一人の当事者として、また一人の生活者として、私なりの受け止め方を以下、もう少しご紹介します。

 

薬物療法は強力だがリスクもある

 

第一章、第二章でも述べたとおり、コンサータには、確かにすばらしい効き目があります。しかし、様々な副作用もあります。すべての副作用が現代の科学で解明されていない可能性を考えると、飲み続けることにも決して不安がないわけではありません。

 

一生治らない障害の症状を抑えるために、一生薬を飲み続けることが、自分にとって本当に幸せなのかは、私にも正直まだよくわかりません。

 

それでも現状飲んでいるのは、毎日仕事をし続け、同時に家事もこなしたりと、日中動き続けるには薬の力が必要で、現状は手放すことができないためです。

 

そもそもADHDは障害なのか個性なのか?

 

ところで、「発達障害は障害というよりも、個性の一つとしてとらえたほうがよい」などと言われることがあると思います。

 

ここでいう個性というのがどういうのものをいうのかはさておき、「発達障害者は物事の捉え方・感じ方が定型発達の人のそれとは異なっているだけで、そこには優劣はないのだ」ということが言いたいのかもしれません。たしかに発達障害の当事者は、得意なことと苦手なことがすごくはっきりしているタイプの人が、私自身も含めて、とても多いような気がします。

 

そうは言っても、「学校に通いたいのに通えない」、「仕事がしたいの定職に就けない」…といった悩みを持っている当事者にとってみれば、自分の「普通と異なる部分」を個性の一つとして受け入れるのは簡単なことではないと思います。

 

自分の場合もまさにそうで、疲れやすいこと、聴覚が過敏であること、動作がテキパキしていないことなどは、どれをとっても、生まれたときからずっと変わらない自分の個性の一つではあります。

 

しかしそれは同時に、それは一企業でサラリーマンとして働く際には、自分を社会に受け容れてもらいにくくしてしまう、好ましくない短所ともなります。

 

薬を本当に必要としているのは誰か

 

薬を飲んで症状を抑えるということは、自分にとっては、得意なことと苦手なことの差が極端すぎる自分を、社会に受け容れてもらいやすくするための、ひとつの工夫とも言えると思います。

 

つまり、あくまで上司や同僚や会社の期待に沿った立ち居振る舞いをするのに薬が欠かせないだけなのであって、自分個人は、本当は薬を必要とはしていないのでないかということです。

 

自分個人の必要性でいえば、好きなコーヒーや紅茶を飲んだり、むしろ疲れたときは横になったりすることのほうがずっと必要なのですが、在宅でできる仕事がとても少なく、しかも残業時間が長い日本のような社会では、当面は力を借りないと、経済的に自立することも難しくなるということです。

 

薬は人生そのものを治療するわけではない

 

当たり前のことではありますが、薬はあくまで薬にすぎず、服用してどれだけすばらしい効果が得られたとしても、決して過去の心の傷を全部癒してくれるわけでもなければ、その人を別人に生まれ変わらせてくれるわけでもありません。

 

仕事のなかでも、苦手なことがいきなり大得意になったりするわけではなく、あまり夢ばかり見ていられるわけではありません。

できないこと、苦手なことをすべて障害のせいにして逃げていても状況がよくならないとの同じように、薬によって自分を変えていくことにも限界があります

 

とくに、職場や学校への適応の悩み、キャリアや学業の悩みといったところになると、結局は一日一日を大事に過ごしながら、いずれ時間が解決してくれるのを待つしかないということが多いように思います

 

薬はあくまで、そういうことの手助けをしてくれるものなのではないかと、今のところは考えています。

 

いまのところの、私の見解

ところでADHDの症状は、規則正しい食生活や、栄養バランス、運動習慣によっても緩和すると考えられているようです。

 

大人のADHDワークブックにも、定期的な運動(週に3〜4回)によって「注意・集中が向上し、健康になり、ストレスが軽減されます」*4 と書かれています。私もいまは薬の力に頼りながら社会人をしていますが、ゆくゆくはこうした別のやり方で、症状と向き合っていけるようにしたいと思っています。

 

どのような副作用や体にどのような負担があるかもはっきりとはわからない薬を一日も欠かさず一生飲み続けるよりは、そのほうがよいのではないかと思うからです。

 

いまはあくまで、そのための準備をする時期と割り切るようにしていますし、仕事をしながら、人と信頼関係をつくる練習をしているのだと思うことにしています。

 

以上で、コンサータを中心にした、薬物療法の話は終わりになります。

 

以下に、参考文献・参考資料を掲載します。

*1 (著)ラッセル・A・バークレー  クリスティン・M・ベントン(名) 山藤菜穂子  『大人のADHDワークブック』p.16

*2 同書 p.135

*3 同書  p.147

『医薬品データベース』00062727.pdf

Top image via https://thedog8.com/2999.html

*4 同書 p.241

 が書いた記事です

ADHD(不注意優勢型)とASDの診断を約一年ほど前にいただいた発達障害当事者です。新卒入社後に仕事でつまずき、間も無く診断された新米社会人。自分のキャリアについて模索(迷走ともいう)する日々を記事にしています。

twitter:https://twitter.com/grace_adhd

この記事をみんなに共有する


にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 大人のADHDへ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 注意欠陥・多動性障害へ にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ

コメントを残す

関連記事

役立つADHD関連情報をお届け!